第43回栃教協夏期研修会
「子供たちの『生きる力』を豊かにはぐくむ教育の創造」
=確かな学力・豊かな心・健やかな体を目指して=
第43回栃教協夏期研修会が7月31日(水)、「ホテル東日本宇都宮」にて、全県から約三百五十名の参加者を得て盛大に開催された。午前中の研修会は、県内の義務教育諸学校に勤務する各職種が一同に集い、それぞれの課題について研究協議を行った。また、全体会の後には、陰山英男氏(立命館大学教育開発機構教授)による教育講演会が催された。
【教育講演会の概要】
「学力は1年で伸びる ~勉強とは集中する練習である~」
冒頭、質問が出された。「この常識のいくつが本当か? 1 学力向上には時間がかかる。2 遅れる子のためゆっくり丁寧な指導が必要である。3 東大は高額所得者の家庭の子でないと入れない。4 日本の子供はPISA型学力はもともと弱い。5 受験や試合に必要なのは緊張感である。6 学力を高めるには授業改善が一番重要である。7 何事もこつこつ努力することが重要である。」陰山先生の答えは「この中に本当という答えはない。」とのこと。その理由を問う。まとめると次のことが言える。
1 学力を伸ばすには、子供本位の理にかなったトレーニングが必要。毎日同じ百ます計算をさせ、毎日タイムを計り記録し、ほめる。さらに毎日できる限り同じ時間にやらせることにより2週間でタイムは半分になる。ほめるでは弱い。驚いてあげる。それで時間を短縮させることによって学力も向上する。
2 できない子に合わせて授業を遅らせてはならない。基本問題を繰り返す。繰り返すにふさわしい効果的な教材を作る。反復の高速化が脳を鍛える。だから、教材は単純なものがいい。 百ます計算や漢字で全教科の成績が上がる。ゆっくり丁寧な指導でなく、高速にできるようになるまで同じ問題を練習させる。一つのことに集中させる。音読指導では口の形に注意させ、発音、発声、姿勢をよくする。手本を見せ、しっかり聞かせることが有効。
3 年間所得400万円以下の家庭の東大生は授業料無料。
4 暗記は思考力の土台。重要なことをまとめ、単純化し覚えさせる。問題を見ないでも答えられるまで徹底反復させる。「ようやくできた」は「できない」と同じ。「さっさとできた」で初めて「できた」になる。
5 危機感は自分の中からわき上がってくるもの。受験や試合に必要なのはリラックス。先生の笑顔が一番。先生自身の表情が暗いと間違いなくクラスの子供の表情も暗い。
6 いい授業をすればテストの点が上がるとは言えない。いい点を取れば意欲が出る。 年度初めにまずいい点を取らせる。模擬テストを行い、指導の補充を行う。テスト予告をし、テスト調べをさせる。見直し指導も徹底する。得点を記録しテストはファイル保存する。
7 努力だけでは改善できない。学力低下の本質は生命力の低下。「早寝、早起き、朝ご飯」は基本。生活習慣を正すことによって、時間感覚を身につけることが大切。夜更かしをして睡眠時間が短いと、記憶を整理する回数が減る。子供たちは睡眠時間が多すぎても少なすぎても成績不振になる。食材が少ないと成績が伸びない。あれる子供は「寝てない、食ってない、勉強してない」。朝食は子供の意欲にも関係している。
〈分科会の様子〉
教育講演会の様子
第1分科会の様子
第2分科会の様子
第3分科会の様子
第4分科会の様子
第5分科会の様子
第6分科会の様子
第7分科会の様子
掲載日:2013年9月13日|行事報告